奥田民生「ひとり股旅スペシャル@マツダスタジアム」

広島市民球場に初めて行ったのは
いつのことだか
もう、思いだせないが

幼い頃は
兄しか連れて行ってもらえず
私は
『ボールが飛んでくるかもしれんけー、女の子はお留守番よ』
と、言われ、なんだか腑に落ちない気持ちになっていた


だが
高校時代には
よく、友だちと
野球観戦
カープを見に行った

大声で
応援して

その当時のありあまるほどの
『生きる力』
を、応援の声にしていたような気がする


選手を応援
もちろんしているけど

それよりも深いのは

カープという球団が
あまりにも、日常に入りすぎているという特殊な
環境による刷り込み愛情だと思う


食事の時でも
祖父は左耳にイヤホンをさし
カープナイターを聞きながら
選手の動きに合わせて箸がとまったりした


毎年、毎年
優勝できないのに
必死に応援するのは

もしかして

自分自身を応援している気分にも
なっているからかもしれない


こんどこそ

こんどこそ



そうやって
あの赤の色をまとったカープファンはかたまっていく


そんな熱い場所で
これまた広島にとっての重要人物
奥田民生がライブ


というのは

ある意味広島の結晶みたいなものだと私は思う


カープとレモンに代表されるようなお土産の
これが広島感しかり

広島出身のアーティストはたくさんいるけれど



カープをこよなく愛し
そして
広島から出た、全国の誰もが知るアーティストになった人が

熱い血のほとばしる球場でライブをやるというのは
民生さんのファンのみならず

広島だからということで見たい、これは見ておきたい。
と思うのは
性に近いものがあるのだ

その証拠に
11年前、
取り壊される前の広島市民球場での民生さんのライブに行った際

知り合いに何人も会った。



それは、仕事の知り合いではない。

友だち、顔見知り、地元、など

あれ??音楽とか、興味あった??
民生さんのファンだったっけ???という人も
少なからずいた。


そう


見ておきたいのだ


球場でうたう、民生さんを。



そして、11年ぶりに
新しくなった球場に帰ってきた。

奥田民生「ひとり股旅スペシャル@マツダスタジアム


球場が大きくなったぶん

なんだか、市民球場のときと
声援の響き方も違う






だからこそ

ぐっと

真ん中に、佇む民生さんの声に
みんなが集中した



まるで

黒田投手の復帰一投目を見るときのように。



民生さんは
年をかさねた姿がいぶし銀のピッチャーにもみえた

カープで例えるなら、北別府投手だろうか
決してスピードはでなくても
制球と打者の心理を読みながら
のらりくらりとしているようで
結局相手を抑えているというような風体



一筆書きのような詩は

年齢を重ねるたびに

解釈も自分の中で変化する



それを
また
如実に感じたこのスタジアムライブだった



民生さんの声が

どんどんと
空にのぼっていく

民生さんの想いと


そして
三万人のそれぞれの想いをのせて



いつしか空は暗くなって


民生さんの声の熱が
心を灯した



_______

ライブ、行けてよかった


ライブはお金もかかる。そして時間も。


でも
それ以上のみえないお土産があるんです
これは、持ってあの世にいけるお土産ですからね笑


人生は一度きり


それぞれの事情も違うけれど
いきたい!
と思ったライブには
足を運びたい


もちろん、チケットが取れるかどうか。そこが重要なんだけど。