調子にのって入院生活1
結局、出産の為の入院は5日間だった。
病気で入院したことはあるが、出産での入院というのは勿論初めて。
これがけっこう、おもしろいことだらけだった。
まず、出産というのは色んな方法があって、
自宅で産む人もあれば、
助産院でもあるし、
大きな総合病院もあり、
ワタクシのような個人病院でというのもある。
なぜこの病院に決めたかというと、ワタクシのまわりでその病院で産んでいる人が多かったのと、
その産んだ知人たちが口々に
「あの病院はいいよ〜。みんな親切だし、なんせご飯が美味しい!!」
と、言うのだ。
親切なのは、当たり前としてもご飯が美味しいというのはポイント高い!!
だって、出産をして、後は痛いばかりの生活なので、
楽しみはご飯くらいしかないのだ。
それが評判がイイ!というので、即決でその病院に決めたといっても過言ではない。
出産が終わってから、ワタクシは個室を頼んでいたので、その病室まで行った。
その個室は一泊8000円。
その病院は殆どが個室なのだが、どういうもので値段が違うのかよくわからないが
5000円から特別室はなんと2万5000円、3万円と色々ある。
特別室を見せてもらったことがあるが、ミニキッチンがついていた。
出産してから誰が入院生活でキッチンを使うのだろう。
見舞いに来てくれた人が使うのか??
とにかく必要なしっ!と思うし、勿論一泊2万も3万もするとこに入院なんて
アホらしい。
ということで、たまたまあいていた8000円の部屋になったわけだが
そこはいわゆるビジネスホテル的な部屋だった。
シングルのベット1つに14型くらいのテレビ。小さな冷凍庫のない冷蔵庫。
ユニットバスの洗面所がついている部屋。
なんてことない部屋で過ごす数日間。
見なれないものといえば、円座だろう。
円座と呼ばれる椅子やクッションを御存知だろうか?
座るところの真ん中がぽっこりと穴が開いているものである。
ひどい痔になる人も、これを使っている人が多いらしい。
いままでお世話になったことなくても、これは妊婦にとっては命だ。
なんせ会陰切開というとんでもなく恐ろしい偉業を成し終えた妊婦にとって
座るというのは拷問に近いものがある。
縫った痕も痛いし、
とにかく痔が100回分一気に来たくらいと言われている意味がわかる程、痛いなんてもんじゃない。
座る時に圧迫しないように、この円座が助けてくれるのだ。
この円座がなければ、なかなか生活はうまくまわらない。それくらい重要なものである。
円座に座りながらチビのことを思う。
新生児室にいるのだが、この病院は母子同室にもできる。
しんどい産んだ日と次の日くらいは預けて、あとはいっしょの生活だ。
預かってもらっていても、ベットの横にあるスピーカーから
「お嬢さんが、大泣きしてますよ〜、きてくださ〜い」
とお呼びがかかるのだ。
そうなると寝ていようが、傷が痛かろうが、一階下にある新生児室まで直行だ。
不思議なことに、階段を降りる間に聞こえる赤ちゃんの声の中に
自分の子供がいるというのが理解できる。
そう、聞き分けられるのだ。
これが不思議なんだけど、自分の赤ちゃんの声だけはハッキリわかるんだなぁ。
本能だ。ほんまに。
看護婦さんは言う。
「お宅の赤ちゃんはすごいね。泣き方が尋常じゃない。彼女が泣くと、みんなつられて
ワンワン泣き出すのよ〜」
声がでかい。のだ。
これはかぁちゃん譲りといっても誰も不思議がらないだろうなあぁぁ。
ちなみに本当にこのお嬢さん、声がでかい。
最初は甘えた声でえんえ〜ん。という感じだが
誰にもかまってもらえないでいると、親の仇!というような大声で
広島弁で言うとこの「おらぶ」のである。
新生児室に迎えに行って、オッパイをあげるか、ミルクをつくるとか色々あるんだが
2日目に、今日はこの子と一緒に寝てみよう!と思って部屋につれて帰った。
狭いシングルベットに小さな子供がコロン。
それを見るだけでも泣きそうになった。
自分の自宅ではないけど、
初めての添い寝。
おそるおそる娘を壁側に寄せて、自分も寝転んでみた。
息をするたびに大きく膨らむお腹。
みょこみょこと動く心臓。
小さい指の中に自分の指をするりとすべりこませると、ギュっとにぎりかえしてくる。
いつまでこんなふうに一緒に寝れるんだろうね。
まるで菊地桃子の赤ちゃんのCMのように、気持ちがかぁちゃんモードになっていくのがわかる。
今まで、こんな風に自分以外を想ったことがあっただろうか。
自分以外にこんなに気を配らせたことがあっただろうか。
自分大好き人間の自分が産んだ娘は、やはり大好きな存在である。
当たり前だけど。
小さな部屋で
気を使いながら添い寝をした次の日
つぶしてはいけない!と身体がガチガチになっていたせいで
妙な筋肉痛になっていた。
娘は一緒に寝た初めての日を覚えていないだろうが
ワタクシは一生忘れないと思う。