入院生活2

入院といっても、妊娠は病気ではないので
いたってのんびりしている。
あまり緊迫した空気もないし、どちらかといえば
幸せな空気に包まれている。

妊婦になって、初めて知ることは多い。
ミルクの作り方、お風呂の入れ方。ありとあらゆることは
初めての経験なので、看護婦さんの存在は非常に大きい。


あとは、何人か子供を産んでいる妊婦さんはやはり子供の扱い方が慣れていて
見ているだけでも安心する。

そういう人がすぐにわかるのが授乳室だ。

そう、オッパイをあげる為の部屋である。
産まれてからすぐにオッパイが出る人というのはすくない。
赤ちゃんに吸ってもらっていたら、3日目くらいででてくるのだ。

ワタクシも最初はあまり出なかったけど、ようやく何日かめで、でてくるようになった。
最初、この授乳室で、自分のオッパイをあげるのにドキドキした。
どのようにまずオッパイを出すのか。両乳をぼろんと出すべきなのか、
それとも片乳?まわりに人がいなかったので、まずは片方の乳をだして
そっとチビの口に持っていくと、どこで教わったでもないのに、おっぱいを吸い出す。
すごいなぁ。と感心しているのもつかのま、
あれれ?というかんじで、抱き方がオカシイのか、泣いて体をちょっとよじったりする。
かぁちゃんまだ慣れてないんだよぉ。許してよお。
と思いつつ、そこに1人のおかぁちゃんがやってきた。

彼女はワタクシよりも1日はやく子供を出産した人。
そして2人目の子供だそうだ。
抱き方が、とてもスムーズである。
ちいさなちいさな赤ちゃんを、隙間があかないように、クッションを入れたりして
赤ちゃんの気持ちがいいとこでオッパイをあげている。
なるほどね〜。
にしても、このおかぁちゃん、すっごい胸である。
妊娠すると、ちょっと胸がでかくなって、喜んでいた。
でも、この授乳期って、半端じゃない。
この貧乳クラブのワタクシ会長が、なんと爆乳というか、ちいさなボールくらいに
パンパンに張ってくるのだ。
この張りというのがまたキンキンカンカンに張ると、痛いのなんのって。
ワタクシでさえこんな感じなんだから、普段から胸がある人なんかは
本当に大変だと思う。
その人は、普段もきっと大きな胸なんだろう。
なんと1つのオッパイが小さなスイカのようになっていた。
見ていても、ちょと目が離せない。
すげ〜。

さっと赤ちゃんに胸をやり、背中なんかをぽんぽんさわりながら、
それはそれは本当にステキな光景だった。
あぁ、おかぁちゃんがオッパイあげている姿って、ステキ!!

でも、新米かあちゃんの自分は、たぶんサマになってない。
娘は一生懸命だが、かぁちゃんの抱き方と、あやす様子がとてもぎこちない。
ワタクシもはやくあんな風になりたいわぁ。

でも、授乳室ってけっこう人の目が気になって、ワタクシ、緊張します。
ということで、自室にもどってから、オッパイをステキにあげる訓練を開始!!
訓練って、チビはイイ迷惑だろうが。

誰も見ていないので、けっこうチビちゃんと二人三脚で
おっとごめんよ。
とか言いつつ、なんとかどういう風にあげたら一番いいのかわかってきた。

最近のマタニティウエアとかはとても考えられていて
わざわざ服を脱がなくても、授乳がしやすいように、
胸の部分にボタンがついていて、ポロンと乳がだせるようになっているものがある。
ワタクシはそういうのを着ていたので、
これは便利!と、両方の乳を出して、訓練にいそしんでいた。

・・・・授乳というのはとてもつかれる。
吸われているだけじゃん。
と思うかもしれないが、4キロちかいものを抱えて、同じ姿勢でいると
腕はつるし、なんせ自分の首が痛くなってくる。
しかも、円座をまだまだ要するときなので、あまり動かないように心がけているのだ。
両方のオッパイをあげたら、グッタリしてしまった。
チビも、不慣れなかあちゃんにグッタリしていた。

そして、二人でちょっと寝てみよう。。。

何分くらい寝たんだろう。
今となっては覚えていないが、起こされたのは、チビの泣き声でもなく、
誰か男の人の声だった。

「ダイジョブですか〜。」

??誰だ?
と目をあけると、そこには病院の先生が立っていた。
巡回にきてくださったようなのだが、ノックは聞こえるわけもなく、
突然先生が目の前に現れたのだ。
驚いたが、ダイジョウブ?という事に答えていないので
寝た格好のまま
「はい、問題ないです」
と言った。
先生は、軽くうなずいて、部屋から出ていった。

ふう。
突然だから、おどろくじゃないの。。。
と思って、ふと目をしたにやると、ワタクシはなんと乳をだしたままの格好!!!
しかも、授乳用の服なのでまるで露出狂のように
普通の服の胸の部分だけぽっこり切れ目があってそこから乳がぽろりだ。
片方だけではなく、疲れたあまり、両方の乳をだしたまま
眠りこけてしまったようなのだ。。

ダイジョウブ?
という先生の問いは
ひょっとしてこの格好に対するものだったのだろうか。
まったくダイジョウブではない格好に、驚いたのは先生の方だったに違いない。
「問題ないです」と答えたワタクシは、かなり問題ありな人間だ。

正直、終わってしまったことは仕方がない。

こんな格好見られても、死ぬわけじゃないし。

そう思った瞬間に
母とは強い、いや、母とは、恥じらいがない。
と心のメモをかきなおした。